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光脱毛のカットフィルターとは?波長の選び方を物理で解説|毛質・肌色で変える理由

2026-10-20 ・ 文:八木 貴大(Salon and.)

「光脱毛の機械って、どれも同じ光が出ているんですか?」——カウンセリングで、たまにこんな質問をいただきます。

答えは「同じ機械でも、出す光の中身を変えられる」です。それを担当しているのが、照射口に取り付けるカットフィルターという部品。Salon and.では、480/530/560/590/640nmの5種類を、部位や毛質に合わせて付け替えています。

今回は、カットフィルターが何をしているのか、なぜ1種類ではなく選ぶ必要があるのかを、光の「色」と「届く深さ」の関係から解説します。

光脱毛の光は、いろんな色が混ざった光

光脱毛(IPL)の光は、レーザーのように1色だけの光ではありません。青っぽい光から赤い光、さらに目に見えない赤外線まで、たくさんの色(波長)が混ざった光です。

波長は「nm(ナノメートル)」という単位で表します。数字が小さいほど青寄り、大きいほど赤寄りの光です。

カットフィルターは、この混ざった光から決めた数字より短い波長をカットして、長い波長だけを通す部品です。たとえば560nmのフィルターなら、560nmより短い光は止めて、それより長い光だけが肌に届きます。

イメージとしては、ふるいに近いものです。ただし普通のふるいと逆で、「小さい粒(短い波長)を落として、大きい粒(長い波長)だけを残す」ふるいだと考えてください。

波長が変わると、何が変わるのか

波長によって、光の性質は大きく2つ変わります。

① 黒い色素への吸収されやすさ

毛の黒い色素(メラニン)は、短い波長ほど光をよく吸収します。光をよく吸うほど、毛の中で生まれる熱も大きくなります。

夏に黒いTシャツが熱くなるのと同じで、光を「吸う力」が強いほど、効率よく熱に変わるわけです。

② 肌の奥への届きやすさ

一方で、長い波長ほど肌の奥まで届きやすいという性質があります。

これは身近な実験で確かめられます。暗いところで、懐中電灯やスマホのライトを指に押し当ててみてください。指が赤く透けて見えるはずです。青や緑の光は手前で吸収・散乱されてしまい、奥まで届いて反対側から出てこられるのは、波長の長い赤い光だからです。

ここがポイント:2つの性質は「シーソー」の関係

短い波長は、メラニンによく吸収されるけれど浅いところで止まりやすい。長い波長は、奥まで届くけれど吸収はおだやか。どちらかを取ると、もう一方は控えめになります。「どの波長が一番いいか」には正解がなく、その人の毛と肌にとって、どこでバランスを取るかが大事になります。

肌の色も、光を吸っている

もうひとつ見落とせないのが、肌そのものにもメラニンがあるということです。

日焼けした肌や色黒の肌は、表面のメラニンが多い状態です。ここに短い波長の光をそのまま当てると、毛より先に肌の表面が光を吸い、表面で熱が生まれます。届けたい毛の根元ではなく、届けたくない皮膚の表面が熱くなってしまうんです。

皮膚は約43℃から「熱い・痛い」と感じはじめ、そこから1℃上がるごとに皮膚の中で起きる変化の速度が約2倍になります(サーマルドーズ)。表面での余計な発熱は、痛みや肌への負担に直結します。

そこでカットフィルターの出番です。短い波長をカットして長い波長だけを通せば、肌表面での吸収をおさえながら、毛の根元へ光を届けやすくなります。日焼けと痛みの関係は「脱毛はなぜ痛い?」の記事でもくわしく書いています。

Salon and.のフィルターの選び方

ここまでの性質をふまえて、当サロンでは次のような観点でフィルターを選んでいます。

  • 毛の太さ・濃さ:メラニンが多い太い毛か、少ない細い毛か
  • 毛根の深さ:部位によって、毛の根元がどれくらい深いところにあるか
  • 肌の色:日焼けや地肌の色で、表面のメラニンがどれくらいあるか
  • 回数と前回の反応:毛が細く、少なくなってきたら設定を見直す

考え方の一例を挙げると、こんな具合です。

  • 細くて色の薄い毛:メラニンが少ないので、吸収されやすい短めの波長側を検討する
  • 太くて根元の深いヒゲ:奥まで届く長めの波長側を検討する
  • 日焼けしている肌:表面での吸収をおさえるため、長めの波長側に寄せる

ただし、これはあくまで考え方の目安です。実際には、同じ鼻下でも人によって毛の太さも肌の色も違います。だからこそ、剃らずに来ていただいて、伸びている毛と肌を見てから決めています。

フィルターを決めたら、0.1秒未満の照射時間を0.1秒単位で調整し、毛乳頭を65℃以上に温めて、生えにくい状態へ導く設定を組み立てます。料理でいえば、フィルターは「どの火を使うか」、照射時間は「どれくらい火を当てるか」。両方そろってはじめて、その人に合った照射になります。

回数が進むと、フィルターも変わる

脱毛は1回で終わるものではありません。毛には「生える・休む・抜ける」のリズム(毛周期)があり、回数を重ねながら少しずつ毛量が減っていきます。くわしくは「脱毛はなぜ1回で終わらない?」の記事をご覧ください。

回数が進むと、残っている毛は細く、色も薄くなっていきます。つまり、光を受け止めるメラニンが減っていく。最初と同じ設定のままだと、残った毛には熱が生まれにくくなります。

そのため当サロンでは、毎回の毛の状態を見て、フィルターを選び直すことがあります。最初に決めた設定を最後まで使い続けるのではなく、その日の毛に合わせて組み直すのが基本です。

毛や肌の状態、変化のペースには個人差があります。フィルターや出力は、毎回の状態を確認しながら調整します。

まとめ

  • 光脱毛の光は、たくさんの波長が混ざった光。カットフィルターは決めた波長より短い光をカットする部品
  • 短い波長はメラニンに吸収されやすく、長い波長は肌の奥まで届きやすい。2つはシーソーの関係
  • 日焼けした肌は表面でも光を吸うので、短い波長をカットして表面の発熱をおさえる
  • 当サロンは480/530/560/590/640nmの5種類から、毛の太さ・深さ・肌の色を見て選ぶ
  • 回数が進んで毛が細くなったら、フィルターも選び直す

「自分のヒゲにはどのフィルターが合うのか」は、実際の毛と肌を見るのがいちばん確実です。まずは1部位から、今の毛に合わせた設定を体験してみてください。どのフィルターを選んだのか、その理由も当日ご説明します。

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